ゆっくりとベッドに沈まる身体。真下に寝っ転がるは、ふわりと優しい笑みを俺にむけた。どうしよう、この笑みだけで身体中が溶けてしまいそうだ。胸の中心から爪先・頭のてっぺんまで、波が流れるように満ちていく気持ち。なんていうんだろうなー、幸福感って言ったらいちばんしっくりくる、かな?たくさんの色を持ったそんな気持ちがどんどん満ちて、でも海のように引いていくことはなくて。いつか俺のキャパシティのマックスを超えたらどうなるんだろう。もしかしたら、超えることなくキャパもどんどん広く大きくなっていくのかな? 「…あれ?」 「どうしたの、文貴?」 やわらかく目をつむったのまぶたに唇を一つおとしてから顔をあげて、気がついた。まぶたの先に生えるクルンと上を向いたマツゲが薄い赤色をしている。確か昨日は、普通の黒だった。あれ?でも一昨日は…あ、一昨日は青だったような!赤いマツゲに合わせたのか、目の端っこにも薄い赤色が乗っている。でもそれは俺を扇情的(…っていうの?なんていうか、挑発されてるっていうか、誘ってるっていうか、まぁ、そんな感じ)にさせるような赤じゃなく、頬が緩むような可愛い赤。オシャレだなぁと思う。 がこうやって着飾ってくるのは、俺と一緒にいるからとか、可愛く見られたいだとか、そういう俺のためだったらすごく嬉しいな、と思う。ちょっと自意識過剰?阿部辺りに殴られそうだな。でもきっとそれは強ち間違ってはいないはずだ。7割…や、6割…5割、は俺のためだと思う。だっては俺がすき。俺もがすきだから。 ちなみに残りの5割は純粋なオシャレ心だろうと思う。 「ふみき…?」 「ん?」 「どうしたの?」 「いや、は可愛いなぁーと思って」 「…頭打った?フライキャッチできなくて頭に落ちてきたとか?」 「そういうこと言うなよなー」 笑った俺に、笑い返すその顔に、また身体が溶けそうになる。波が押し寄せては身体中を満たしていく。なんでこんなにも、こんなにも、君は俺にたくさんの色を与えてくれるのだろう。幸せで仕方がない。俺に向く笑顔も、俺の名前を呼ぶやわい声も、控え目に回される細い腕も、少し桃色に染まった頬も、小さく囁かれた愛の言葉も。全てが全てが幸せで愛おしくて仕方がない。
いろどりマツゲ ** あ、あまい…! title:いろどりマツゲ(by.SBY) 20070611 |